売掛金の回収
売掛金の回収方法としては、以下のものが挙げられます。
・交渉による回収
相手方と交渉して売掛金を支払うように求める方法です。まずは当事者同士で話し合いを行った方がよいかもしれません。なぜなら、大概の人はいきなり弁護士が接触してくると過度に身構えてしまう傾向があり、交渉による柔軟な解決ができなくなってしまうおそれがあるからです。もっとも、この方法はあくまでも相手方の任意な協力が必須であるので、当事者同士の話し合いだけでは進展がないような場合には、専門家である弁護士に間に入ってもらって交渉するのがよいでしょう。
・相殺による回収
相殺(民法505条)とは、債権者と債務者が相互に同種の債権債務を有する場合に、その債権債務を対当額において消滅させることを言います。例えば、売掛金(100万円)を回収したいAさんは、売掛金の債務者Bさんに別の債務(100万円)を有しているとします。この時、Aさんは売掛金の債権とBさんに対する債務を相殺することによって、Bさんに対する債務を免れる代わりに売掛金の債権の満足を受けることができます。
このように、相殺を行えば売掛金の債務者が実際に弁済をしてこなくても、債権者が満足を受けられるのです。もっとも、相殺を行うためには売掛金の債務者に対して、債務を負っている必要があります。
・債権譲渡による回収
売掛金債権を第三者に譲渡し、その代金をもって満足を受ける方法です。この方法によれば相殺と同様、売掛金債務者の現実の弁済を受けずして債権を満足させることができます。もっとも、通常、債権譲渡の代金は、債権額全額とはならず、多少ディスカウントされてしまうので、債権全額の満足を受けられることは稀でしょう。
・裁判による回収
裁判をして判決を得、強制執行を行う方法です。この方法によれば売掛金債務者が弁済を拒んでいても、強制的に履行させることができます。
以上のいずれの方法を採るにせよ、売掛金債権の消滅時効には注意しましょう。一般的な金銭債権であれば10年(民法167条1項)、商事債権であれば5年(商法522条)で時効です。
初雁総合法律事務所では、売掛金の回収といった企業支援業務を取り扱っております。文京区、千代田区、渋谷区、板橋区、江東区を中心に、一都三県でご相談を承っておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。