内部統制
内部統制とは、会社の業務を法令に適合する形で行えるよう会社内に危機管理体制を構築・運用することをいいます。コンプライアンスの定義にもよりますが、コンプライアンスと内部統制は、ほとんど同義といえます。また、コーポレート・ガバナンスと似た概念ですが、企業価値を創出し、株主や債権者、顧客の利益を擁護するために、適切な企業統治を図るコーポレート・ガバナンスの概念のうち、業務の法令への適合性に着目した概念が、内部統制といえると考えられます。
内部統制には、大きく分けて会社法で規定された会社一般の法令遵守のための内部システム構築義務と、j-sox法(金融商品取引法など財務計算の内部統制にかんする法令のこと)で規定された財務計算にかかわる内部統制があります。
・会社法上の内部統制
たび重なる企業の不祥事を受けて会社法の改正が行われ、内部統制にかかわる事項は取締役会の決議事項とされました。さらに、資本金が5億円以上・負債総額が200億円以上の会社法上の大会社については、かかる事項について決議することが義務付けられました。また、大会社においては、会社法と会社法施行規則によって、毎年作成義務がある事業報告書に、かかる決議の内容と、実際の運用状況について記載することが求められています。
内部統制の手法としては、監査役会を設置し、会社法上の厳格な要件をみたした社外監査役を選任すること、内部監査(コンプライアンス監査)を実施すること、コンプライアンスマニュアルを作成するなど社内規定を見直すこと、従業員に対するコンプライアンス教育を徹底することなどがあげられます。
・j-sox法上の内部統制
j-sox法とは財務報告の適正性を確保するために設けられた、金融商品取引法の規定と、それを受けて設けられた内閣府令のことをいいます。また、金融庁が内部統制の実施基準について、ガイドラインを設けているので、このガイドラインに則った内部統制システムの構築が求められます。
金融商品取引法は、上場企業に対して財務計算にかかる内部統制の体制を評価した報告書の提出と、この報告書について公認会計士や監査法人による監査証明を受けることを義務付けています。