労働問題
労働問題としては、採用や解雇など労働者の身分にかかわる問題、賃金や有給休暇取得の可否など労働条件にかかわる問題、業務を原因とする傷病など労働環境にかかわる問題などがあげられます。
日本の労働法は無期限の労働契約を締結した労働者の解雇に厳しい制限を設ける、労働基準法において年次有給休暇の取得を権利として保障するなど、労働者を保護するため企業に様々な規制を課しており、これらに違反すると労働紛争の原因となります。また労働法に違反すると労働者に対して一定の賠償を求められるだけでなく、刑事罰の対象にもなりえるなど企業は多大な損害を被ることとなります。したがって、労働法についての知識とこれに則った正しい対応により、適度に労働者と相談しながら紛争を予防することが必須となります。
一方で、労働法に基づいて労務管理・人事管理などを適切に行っていたとしても、思わぬ形で労働問題が発生したり労働者側の不当な要求により紛争に至ることもあります。そのような際に、交渉や裁判で有利な結果を得るための知識も必要となります。
労働紛争は、労働基準監督署による調査・勧告・送検、労働者との民事裁判、労働組合による介入、労働審判などの形で現れます。
このうち、労働審判は労働紛争を迅速に解決するために設けられた制度で、裁判官である労働審判官1名と企業団体及び労働団体にそれぞれ選ばれた労働審判員2名による審理を経て、調停や労働審判がなされます。審理は3回以内で終結します。労働審判は民事裁判の判決より柔軟な命令が可能で、紛争解決のために積極的な提案がなされることもあります。労働審判に不服がある場合は、裁判所に異議を申し立て通常の裁判に移行させることも可能です。