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医療ミスによって請求できる賠償金の種類

医療ミスにより損害を受けた場合、その損害を補償するための賠償金を受け取れる可能性があります。

実際にかかった医療費に対する賠償や、精神的苦痛に対する慰謝料など、賠償金には種類があります。

この記事では、医療ミスに対して請求できる賠償金について解説します。

賠償金の請求

賠償金とは、なんらかの損害が発生した場合に、その損害を補償するため支払われる金銭です。

医療ミスによって損害を受けた場合、「医療従事者の過失によって患者が損害を受けた」という因果関係を証明することで、賠償金を請求できます。

賠償金の請求は医療従事者個人だけでなく、使用者責任のある医療機関に対しても行えます。

 

しかし、証拠の収集や因果関係の証明を個人で行うことは簡単ではありません。

カルテなどの証拠となるものは医療機関が所有しているため、隠ぺいされないよう、適切な方法により証拠を集めていく必要があります。

専門家などに依頼し、必要があれば医療調査なども行って、過失と損害の因果関係を証明していきます。

医療ミスで請求できる賠償金の種類

医療ミスによって治療が必要になったり、障害が残ったりした場合には、次のような損害に対する賠償金を請求できる可能性があります。

 

  • 治療費などの積極損害
  • 休業損害
  • 逸失利益
  • 精神的苦痛に対する慰謝料

治療費などの積極損害

治療や入院にかかった費用など、医療ミスにより支払わなければならなくなった費用の損害を賠償請求できます。

通院のための交通費や、車いすなど必要となった器具の購入費も対象です。

 

医療ミスにより要介護状態になった場合には、介護にかかる費用やバリアフリーの改修費も請求できます。

また重い障害を負い、生涯にわたって介護が必要と診断された場合には、将来分の介護費を平均余命分請求できる可能性があります。

さらに医療ミスによって亡くなった場合には、葬儀にかかる費用も請求できます。

 

ただし、医療ミスと無関係な治療費は請求できません。

医療ミスの発生時には、既往症の治療などを行っていたはずです。

そのため、医療ミス発生後の治療が医療ミスによるものなのか、医療ミスが発生しなくても行われていた治療なのか、正しく判断する必要があります。

たとえば既往症の治療入院中に医療ミスが発生した場合、賠償金として請求できるのは、医療ミスにより増加した分の入院治療費です。

休業損害

医療ミスによる治療のため休業せざるを得なくなり、収入が減少した場合には、休業損害賠償を請求できます。

1日あたりの収入単価を計算し、休業日数を掛けることで損害額を算出します。

1日あたりの収入単価は、給与所得者や個人事業主など、状況によって異なります。

給与所得者は直近3か月の給与から計算しますが、個人事業主などは前年度の所得額から計算します。

逸失利益

医療ミスによって後遺障害を負ったり死亡したりしたことによる、将来的な損失を補償するものが逸失利益の賠償です。

医療ミスによって収入が減少した場合、将来的に得られたはずの収入が補填されます。

逸失利益は次のように計算します。

 

逸失利益=1年当たりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

 

労働能力喪失率は後遺障害の等級に応じて決められており、5%~100%です。

ライプニッツ係数とは、将来得るはずだった収入を一括で受け取ることにより、過剰に利益が発生しないようにするための係数です。

労働能力喪失期間は、医療ミスによって負った後遺障害などの症状固定時から67歳までの期間です。

すでに67歳を超えている場合は、平均余命の2分の1で計算します。

慰謝料

医療ミスによって受けた精神的苦痛に対する補償が慰謝料です。

慰謝料には次の3つの種類があります。

 

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料

 

入通院慰謝料は、医療ミスにより入通院が必要になったことへの精神的苦痛を補償するものであり、入通院期間が長いほど高額になります。

医療ミスにより後遺障害が残った場合には、その精神的苦痛を補償するため後遺障害慰謝料を請求できます。

後遺障害慰謝料の相場は後遺障害等級に応じて決まっており、110万円~2,800万円が目安です。

ただし既往症が後遺障害に影響を与えた場合には、相場よりも低い金額になることがあります。

 

死亡慰謝料の相場は2,000万円~2,800万円です。

患者本人だけでなく、遺族が受けた精神的苦痛に対する補償も含まれています。

亡くなった方が家計を支えていた場合、死亡慰謝料は高額になります。

まとめ

この記事では、医療ミスで損害を受けた場合に請求できる賠償金について紹介しました。

医療ミスが発生すると、さまざまな損害を受けます。

実際に負担した金銭だけでなく、将来的に失うことになる利益に対する賠償金も受け取れる可能性があります。

しかし個人で賠償金を請求することは簡単ではありません。

医療ミスによる賠償金の請求は弁護士までご相談ください。

提供する基礎知識Basic Knowledge

資格者紹介Staff

野口 眞寿先生
野口 眞寿Noguchi Masatoshi

法律を知らないばかりに悩んでいる人々の力になりたい。

当事務所は医療過誤のご相談に豊富な経験がございます。
おひとりで悩まず、お気軽にご相談ください。

所属団体・資格等

  • 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
  • 医療問題弁護団
  • 公益社団法人 東京青年会議所
  • 文京区基本構想推進区民協議会 委員
  • 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
  • 文京区倫理法人会

経歴

  • 2008年
    東洋大学法学部 卒業
  • 2011年
    東洋大学法科大学院 卒業
  • 2011年
    司法試験合格
  • 2012年
    弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
    神保町法律事務所 入所
    文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
    東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
    公益社団法人東京青年会議所 入会
  • 2013年
    初雁総合法律事務所 設立
    公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任

事務所概要Office Overview

名称 初雁総合法律事務所
資格者 野口 眞寿 (のぐち まさとし)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル4F
連絡先
(担当:野口)
TEL:050-3184-3790/FAX:050-3730-7809
対応時間 10:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能です)
定休日 土日祝(事前予約で休日も対応可能です)
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