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カルテの開示を拒否された|法的問題と対処法

交通事故による慰謝料請求や、医療過誤による訴訟を考えている場合など、さまざまな理由から医療機関にカルテの開示を求めることがあります。

しかし、医療機関側がカルテの開示を渋ることも珍しくありません。

この記事では、医療機関がカルテの開示を拒否した場合の法的問題と、対処法について解説します。

カルテの開示

患者は医療機関に対し、自身のカルテに書かれている内容の開示を求められます。

カルテとは、患者の状態や検査結果、提供した医療行為などを記録した文書です。

カルテの作成は医師法により義務付けられています。

カルテには診療時の医師の分析や考察なども記載されており、適切な医療の提供に利用されています。

また保険請求時には、行われた医療行為や保険金の妥当性を判断する材料になります。

カルテの開示を求める理由

カルテの開示を求める理由はさまざまです。

 

  • 受けている治療の理解を深めたい
  • 病状の説明に嘘がないか知りたい
  • 治療方針について他の医師にも相談したい

 

上記のように治療のために開示を求めることもあれば、次のような理由で求めることもあります。

 

  • 保険加入のため治療歴などを知りたい
  • 保険金の請求時に提出する必要がある
  • 医療ミスではないかと疑っている
  • 医療ミスに関する訴訟を起こそうとしている

カルテの開示拒否

患者がカルテの開示を求めても、医療機関がそれを拒否することがあります。

とくに医療ミスの疑いがある場合、開示を渋ることは珍しくありません。

開示拒否と法的問題

医療機関は原則として、患者本人からのカルテの開示請求に応じなければいけません。

厚生労働省や日本医師会によって診療情報の提供に関する指針が示されているほか、個人情報保護法によって、開示義務が定められているためです。

これにより、正当な理由なく開示を拒否することは違法となります。

 

開示請求に応じず、是正勧告や命令にも従わない場合には、懲役や罰金を科される可能性もあります。

さらに開示を拒否された患者側は、医療機関に対し、カルテ開示義務の違反に対する慰謝料を請求できる可能性もあります。

開示請求を拒否できることもある

個人情報保護法により、次に該当する場合、開示請求を拒否できます。

 

  • 本人や第三者の生命・財産などの権利や利益を害する
  • 業務に支障をきたす
  • 他の法令に違反する

 

たとえば精神疾患がある場合、病状をありのまますべて説明してしまうと、かえって病状を悪化させてしまうことがあります。

また、カルテには病状だけでなく、患者との接し方などの注意事項を記載していることもあります。

内容によっては患者が気分を害する恐れもあり、それが本人の目に触れてしまうと双方の信頼関係が、業務に支障をきたしかねません。

さらに、医療従事者には守秘義務があり、業務で知った情報を勝手に第三者へ提供することは違法行為です。

このような理由により、医療機関はカルテの一部、またはすべての開示を拒否できます。

開示拒否の対処法

開示を拒否されたときには、医療機関に対してカルテを開示する義務があることを伝えたうえで、再度開示請求をしてください。

カルテの開示義務があることを伝える

以前は、1日あたり5,000人以上を診療する医療機関にのみ開示の義務がありました。

しかし現在その要件は撤廃されており、小規模な医療機関であっても開示の義務を負っています。

医療機関によってはそれを把握していないことがあるため、まずは法的に問題がある旨を伝えることが大切です。

また、各都道府県に設置されている医療安全支援センターへ相談することで、対応を促せる可能性があります。

証拠保全を行う

医療過誤を疑っている場合、裁判所に証拠保全の申し立てを行うことも大切です。

カルテは医療機関が管理しているものであり、通常は医療機関の協力がなければ取得できません。

また、たとえ開示請求したとしても、開示を拒否している間にカルテが改ざんされる恐れもあります。

このようなときに裁判所へ申し立てを行うことで、裁判所に証拠を保全してもらうことが可能です。

 

証拠保全の手続きは、あらかじめ医療機関に伝えることなく実施されます。

手続き当日に裁判所の職員が医療機関を訪れ、カルテなどのコピーをとります。

証拠となる内容を隠されるリスクが低く、保全後は加筆修正もできないことから、訴訟の際に役立ちます。

まとめ

この記事では、医療機関にカルテの開示を拒否されたときの法的問題と、対処法を解説しました。

医療機関には、日本医師会などの定めた指針や個人情報保護法などにより、カルテの開示請求に応じる義務があります。

正当な理由なく開示に応じなかった場合には、罰せられることもあります。

医療機関によっては、この指針や法律を正しく理解していないこともあるため、まずは開示義務があることを伝えなければいけません。

医療機関とのトラブルや交渉の対応は、弁護士までご相談ください。

提供する基礎知識Basic Knowledge

資格者紹介Staff

野口 眞寿先生
野口 眞寿Noguchi Masatoshi

法律を知らないばかりに悩んでいる人々の力になりたい。

当事務所は医療過誤のご相談に豊富な経験がございます。
おひとりで悩まず、お気軽にご相談ください。

所属団体・資格等

  • 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
  • 医療問題弁護団
  • 公益社団法人 東京青年会議所
  • 文京区基本構想推進区民協議会 委員
  • 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
  • 文京区倫理法人会

経歴

  • 2008年
    東洋大学法学部 卒業
  • 2011年
    東洋大学法科大学院 卒業
  • 2011年
    司法試験合格
  • 2012年
    弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
    神保町法律事務所 入所
    文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
    東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
    公益社団法人東京青年会議所 入会
  • 2013年
    初雁総合法律事務所 設立
    公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任

事務所概要Office Overview

名称 初雁総合法律事務所
資格者 野口 眞寿 (のぐち まさとし)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル4F
連絡先
(担当:野口)
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