美容整形の再手術費用をクリニックに請求できる要件
美容整形手術後に、他院での修正や再手術が必要になった場合、その費用をクリニックへ請求できるのか悩む方は少なくありません。
請求するには医師の過失や再手術との因果関係など、法律上の要件を満たす必要があります。
本記事では、再手術費用を請求するための法的根拠や要件、注意点について解説します。
再手術費用の請求根拠となる債務不履行と不法行為
再手術費用の請求は、民法上の債務不履行または不法行為を根拠に行います。
美容整形は患者とクリニックとの間で結ばれる診療契約に基づいて行われます。
そのため、契約で約束した水準の医療行為が提供されなかったときや、医師が注意義務を怠って患者に損害を与えたときには、民法を根拠に損害賠償を求めることができます。
診療契約に基づく債務不履行
美容医療では、患者が施術を受けるかどうかを判断できるよう、医師には必要な情報を適切に説明することが求められます。
説明すべき内容として、主に次のようなものがあります。
施術の内容や方法
期待できる効果
副作用や合併症などのリスク
ほかに選択できる治療方法
十分な説明がないまま施術が行われ、説明されていなかったリスクによって損害が生じた場合などは、説明義務違反として債務不履行に基づく損害賠償を請求できる可能性があります。
ただし、説明が不十分だっただけで直ちに再手術費用を請求できるわけではありません。
説明義務違反と生じた損害との関係を個別に確認する必要があります。
注意義務違反を理由とする不法行為
不法行為は、医師が注意義務を怠り患者に損害を与えたことを理由とする請求で、民法第709条が根拠となります。
手術の手技上のミスや、術後に必要な処置を怠ったことにより身体に損害が生じたときは、この規定に基づき賠償を請求できます。
債務不履行と不法行為は、実務上、いずれかを選択して主張することも、両者を併せて主張することもあります。
再手術費用が損害として認められる要件
再手術費用を請求するには、過失、因果関係、損害の3つがそろっていることが必要です。
単に結果に満足できないというだけでは足りず、医師の医療行為に落ち度があり、それによって再手術が必要になったという関係を示さなければなりません。
医師の過失があること
過失とは、医師に求められる医療水準の注意義務に違反したことを指します。
同じ専門分野の医師であれば通常尽くすべき注意を怠り、不適切な手術や処置を行ったといえる事情が必要です。
仕上がりへの主観的な不満と、医学的に不適切な医療行為とは区別して検討されるため、術式の選択や手技の内容が医療水準に照らして適切だったかが重要となります。
過失と損害の因果関係があること
因果関係とは、医師の過失があったからこそ再手術が必要になったという相当な関係のことです。
もともとの体質や、患者側の術後管理など別の原因で修正が必要になったときには、因果関係が否定されることがあります。
この過失と因果関係の立証責任は患者側が負うため、診療録であるカルテの解析や専門医の意見書が必要となり、訴訟が長期化することも珍しくありません。
損害が実際に発生していること
損害賠償を請求するには、再手術費用などの損害が実際に発生していることも必要です。
たとえば、他院で再手術を受けるために支払った費用や、そのために必要となった通院交通費などは、医師の過失との因果関係が認められる範囲で損害として請求できる可能性があります。
一方で、将来発生する可能性がある費用や、医学的な必要性が認められない治療費については、損害として認められない場合があります。
そのため、再手術費用の請求では、実際に支出した費用や再手術の必要性を裏付ける資料を準備しておくことが重要です。
再手術費用を請求する際に注意すべき時効
請求権には期限があるため、早めの検討が欠かせません。
不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から3年で時効消滅します。
ただし人の生命や身体を害する不法行為による請求権は、この期間が5年に伸長されます。
なお、加害者を知らなかった場合でも、不法行為の時から20年が経過すると請求権は消滅します。
一方、診療契約上の債務不履行に基づく請求権は、権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年で消滅します。
不法行為と債務不履行は法的性質が異なるため、それぞれ起算点と期間を別に確認する必要があります。
時効の起算点は事案ごとに異なり、いつから期間が進行するかの判断はしばしば複雑です。
後遺症が後から判明したケースなど、起算点が争われることもあります。
証拠となるカルテや同意書の保全も含め、早い段階で対応を始めることが望まれます。
まとめ
美容整形手術の失敗による再手術費用は、医師の過失、その過失と再手術の必要性との因果関係、そして現実に生じた損害という要件を満たせば、債務不履行または不法行為を根拠に請求できます。
ただし美容医療は高度な専門性を持つため、過失や因果関係の立証は容易でなく、請求すれば費用が全額認められるとは限りません。
結果は個別の事情によって大きく異なります。
時効の起算点の判断や証拠の確保など、専門的な検討を要する場面も多いため、再手術費用の請求を考えている場合は、医療過誤に詳しい弁護士へ早めに相談することで、状況に応じた対応を検討しやすくなります。
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資格者紹介Staff
法律を知らないばかりに悩んでいる人々の力になりたい。
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所属団体・資格等
- 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
- 医療問題弁護団
- 公益社団法人 東京青年会議所
- 文京区基本構想推進区民協議会 委員
- 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
- 文京区倫理法人会
経歴
-
- 2008年
- 東洋大学法学部 卒業
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- 2011年
- 東洋大学法科大学院 卒業
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- 2011年
- 司法試験合格
-
- 2012年
-
弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
神保町法律事務所 入所
文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
公益社団法人東京青年会議所 入会
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- 2013年
- 初雁総合法律事務所 設立
公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任
事務所概要Office Overview
| 名称 | 初雁総合法律事務所 |
|---|---|
| 資格者 | 野口 眞寿 (のぐち まさとし) |
| 所在地 | 〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル4F |
| 連絡先 (担当:野口) |
TEL:050-3184-3790/FAX:050-3730-7809 |
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