対応時間
平日 10:00~18:00
定休日
土日・祝日

※ 土日祝・夜間は事前予約で対応

医療過誤を弁護士に依頼した場合の流れ/弁護士 野口 眞寿

弁護士 野口 眞寿 > 医療過誤 > 医療過誤を弁護士に依頼した場合の流れ

医療過誤を弁護士に依頼した場合の流れ

患者やその遺族が、弁護士に医療過誤の相談をした場合、一般的には以下のように手続きを進めます。

 

■(1)事前の調査
医療過誤の相談を受けた弁護士は、まず訴訟や示談交渉を行う前に調査を行います。

医療過誤トラブルを解決するには医学に関する知識が必要ですが、弁護士や裁判官にはそのような知識はほとんどありません。医療の専門家ではない弁護士が当事者から事情を聴いても、医師の過失や因果関係の有無などを判断することは困難です。そこで、通常は次の①、②の調査を行います。


①診療経過などの事実関係の調査
②医学的知見(医学に関する知識)の調査

 

①の調査としては、「カルテなどの診療記録の入手」が重要です。医師は、患者に対して医療行為の内容や経過、結果などについて説明・報告すべき義務(顛末報告義務)を負っているため、患者側は医師などに対してカルテ等の開示請求を行うことができます(厚生労働省「医療・介護関係事業者 における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」等参照)。また、開示されるまでの間にカルテ等を改ざんされるおそれがあるときなどでは、証拠保全を行うことが考えられます。

 

②の調査では、医学的な知見を得て、その知見に照らして、医師等が行った医療行為が不適切であったかを検討することになります。

医学的な知見の調査方法としては、以下の資料等を活用します。


・医学文献
・診療ガイドライン
・医療品の添付文書
・前医や後医(問題としている医療機関の前や後に診療を受けた場合の、別の医療機関)のカルテ入手や医師等からの聴取
・協力医(知識の提供や意見書の作成などを通じて、事件解決に協力してくれる医師のこと)


■(2)医療機関との交渉
調査では、医療機関側に何らかの法的責任があるかどうかを確認します。しかし、医療機関側に法的責任が認められないと弁護士が判断した場合、依頼者に対して根拠を示しながらその旨を説明することになります。患者様やそのご遺族にご納得いただけるよう、誠心誠意ご説明いたします。

場合によっては医療機関側に説明会の開催を求め、診療経過や事故が発生した原因などについて、医療機関側から説明してもらうこともあります。

 

他方で、調査の結果、医療機関側に法的責任が認められる可能性が高いと弁護士が判断した場合、示談解決のための協議を医療機関側に申し入れます。

医療機関側が過失を認めておらず、交渉の余地がないケースを除いて、訴訟を避けて示談交渉を行うのが一般的です。これは、医療過誤訴訟の場合、判決が出るまで長期間となりやすく、訴訟費用が高額になるほか、医療過誤訴訟の勝訴率(裁判で勝てる確率)は一般的な民事事件と比較して非常に低いといわれているためです。いきなり訴訟を提起しても、依頼者にとって時間的、経済的、精神的に大きな負担がかかる一方で、期待した結果が得られにくいと考えられます。

 

示談交渉では、証拠を提示して医療機関側に法的責任があることを主張しつつ、損害の賠償を求めます。医療機関側の意見も踏まえながら、両者の納得いく解決を目指します。訴訟を提起した場合に医療機関の責任が認められる見込みの程度や、患者や家族の意向、医療機関側のスタンスなどを見ながら、協議を進めていきます。両者の妥協点を見出すことが出来れば、示談を成立させ、和解契約を締結します。


■(3)民事調停・医療ADR、訴訟の提起
示談が成立しない場合や、医療機関側が示談交渉に応じない場合は、訴訟を提起して裁判で決着をつけることになります。

もっとも、第三者を交えた話し合いにより解決する可能性があれば、民事調停や医療ADRを活用する方法もあります。

民事調停や医療ADRは、医療機関の責任についてはほぼ争いがなく、損害額が主要な争点となっているケースなどに適しているとされます。

訴訟を提起する場合、上述の通り、患者側に大きな負担・リスクがあるため、相当の覚悟がなければなりません。判決が出るまで数年はかかると考えた方がよいでしょう。頃合いを見て和解で決着をつけるのもひとつの手です。なお、補償制度として、医療品副作用被害救済制度や産科医療補償制度などがあるので、該当する場合はこれらの制度を活用して給付金の交付を受けるようにしましょう。


初雁綜合法律事務所は、文京区、千代田区、板橋区、渋谷区、江東区を中心に、一都三県における医療過誤のご相談を承ります。
当事務所は個人・会社・国内海外問わず、さまざまな法律相談に対応しており、依頼者様のご希望に沿った解決を目指します。お電話でのお問い合わせも承っており、事前にご予約いただければ、時間外や土日祝日の対応も可能です。医療過誤でお悩みの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 野口 眞寿が提供する基礎知識

  • 浮気・不倫の慰謝料

    離婚をお考えの方の中には、慰謝料の請求についてお考えの方も少なくないでしょう。しかし、全ての離婚のケースにおいて慰謝料を...

  • 財産分与

    「離婚後の生活が金銭的に成り立つか不安で、離婚に踏み切ることができない」「離婚したら、財産を全て失ってしまうのではないか...

  • 調停離婚

    離婚を目指す場合、まずは「協議離婚」、つまり当事者の話し合いによって離婚を成立させることができないか模索することになりま...

  • 裁判離婚

    裁判離婚は、離婚を成立させるための最終手段です。どれだけ離婚に関する決着がつかなかったケースであっても、最後は裁判離婚で...

  • 親権と監護権

    離婚問題の中で、特に当事者双方の合意が得られにくいと言われているのが、お子様の親権をめぐる問題です。なぜなら、親権者とな...

  • DV被害

    「DV」つまりドメスティックバイオレンスとは、精神的、肉体的、経済的、性的などの暴力を指す言葉です。日本におけるDV被害...

  • 企業法務とは

     企業法務とは、企業経営にかかわる法律問題一般に対応する業務のことをいいます。一口に企業の法律問題といっても様々なものが...

  • 就業規則

     就業規則は労働者の労働条件について定めた規則です。就業規則は労働契約の最低基準であり、個々の労働者と就業規則を下回る条...

  • 労務管理について

     労務管理とは、労働者の賃金の計算や労働時間の調節、休暇管理、職場の安全衛生管理、税金や年金などの手続きといった労働者の...

  • 労働問題

     労働問題としては、採用や解雇など労働者の身分にかかわる問題、賃金や有給休暇取得の可否など労働条件にかかわる問題、業務を...

  • 労働契約書の作成

     雇用契約成立の要件は、使用者と労働者の合意のみであり、契約書の作成は要件ではありません。実際、アルバイトなどでは契約書...

  • コンプライアンスマニュア...

     コンプライアンスとは、基本的には、企業の業務が法令を遵守した形で行えるようにシステムを構築し、企業の不祥事を予防するこ...

  • 内部統制

     内部統制とは、会社の業務を法令に適合する形で行えるよう会社内に危機管理体制を構築・運用することをいいます。コンプライア...

  • クレーム処理

     顧客からのクレームは、企業の過失によって被った損害を訴えるクレーム、従業員の態度が気に入らないといった損害が軽微または...

  • 企業法務を弁護士に依頼す...

     企業法務と一口にいっても、その内実は多種多様で、高い専門性と手間が必要となり、企業だけで行うには限界があります。とはい...

  • 債権回収とは

    債権回収とは、一般に、債務者(取引先など)が任意に弁済することができなくなっているときに、債権者側から働きかけて債権の補...

  • 任意回収

    債権回収は、任意回収と強制回収の二つに分類されることがあります。このうち任意回収とは、裁判所を使わずに債権を回収すること...

  • 強制回収

      債権回収には、任意回収の他に、強制回収があります。強制回収は、債務者の任意に渡るのではなく、裁判所の手続きを経て債務...

  • 債権回収を弁護士に依頼す...

      債権回収は自ら行うほか、弁護士に依頼して行うこともできます。また、少額ならば、司法書士に依頼することもできます。上記...

  • 契約書作成とリーガルチェ...

    契約書を作成する上で専門家のリーガルチェックを受けることのメリットは以下の通りです。・紛争を未然に防ぐ契約書は契約内容を...

  • 契約交渉

    契約交渉するにおいて、法的に注意すべき点があります。それは「説明義務」というものです。説明義務とは、ある事実を説明すれば...

  • 売掛金の回収

    売掛金の回収方法としては、以下のものが挙げられます。・交渉による回収相手方と交渉して売掛金を支払うように求める方法です。...

  • 事業承継の方法

    事業承継の方法としては、①事業譲渡(会社法467条)、②M&Aの2種類があります。M&Aについては別の項目で概説するので...

  • M&Aを行う

    M&A(Merger and acquisition)とは、企業の買収・結合・再編の総称です。以下では、M&Aの代表的な...

  • 事業再生の流れ

    事業再生、特に民事再生については、以下のような流れで進んでいきます。・再生手続開始の申立て(民事再生法21条)がされると...

  • 会社設立の流れ

    ○株式会社の設立について株式会社の設立には2種類あります。一つは発起設立(会社法25条1項1号)で、これは発起人が設立時...

  • 株式会社と合同会社の違い

    ○株式会社と合同会社の相違点株式会社と合同会社の共通点としては、どちらも社員の責任が有限責任であるという点です。有限責任...

  • 資本金の決め方

    資本金とは、簡単に言えば会社の運転資金のことです。会社を経営していくためには、従業員の給料や仕入にかかる費用、物品の売買...

  • 資金調達の種類

    資金調達には様々な方法があります。起業を応援してくれる家族や友人からお金を借りるというのも資金調達の一種ですし、銀行から...

  • 創業融資の借入について

    起業時には日本政策金融公庫の創業融資制度を活用することがおすすめです。国が100%出資している日本政策金融公庫は、民間の...

  • 創業計画書作成について

    起業の際には、資金調達のために日本政策金融公庫の創業融資制度などを活用するのが一般的です。しかし、競争倍率が激しいため、...

  • 補助金や助成金の申請

    補助金や助成金の申請の際は、まず応募する補助金や助成金の情報を収集しましょう。どういった条件が課せられているのか、応募の...

  • 事業計画書の作成

    事業計画書とは、これから行うビジネスの計画を表したものであり、これをもとに融資審査がされるなど、事業の将来を大きく左右す...

  • 医療過誤・医療事故を疑っ...

    医療事故と医療過誤は同じように思えますが、似て非なるものです。患者様に医療行為によって何らかの損害があった場合は、どのよ...

  • 医療裁判の流れ

    医療事故が医療過誤によるものであると断定した場合、医療機関側との和解がなければ医療裁判へと移ることがあります。医療裁判は...

  • 意見書(私的鑑定意見書)...

    医療過誤事件では、当時の医療水準に照らし合わせて、それを下回る医療が施されていたのかどうかが重要な争点となります。そのた...

  • 医療事故・医療ミスの種類

    医療過誤の種類はよくイメージされるような手術などの技術的なミスだけではありません。医療過誤にもいくつかの種類があり、それ...

  • 協力医とは

    医療裁判においては、専門的知識を持ち、かつ医療を生業としている医師の協力が不可欠です。被告側の医療機関が医療のプロである...

  • 医療過誤を弁護士に依頼す...

    医療過誤では初期の情報収集が非常に重要です。カルテや診断書の収集は欠かせません。また、これらが改ざんされないように裁判所...

よく検索されるキーワード

弁護士紹介

法律を知らないばかりに悩んでいる人々の力になりたい。

野口弁護士の写真
野口弁護士の写真
弁護士
野口 眞寿
所属団体・資格等
  • 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
  • 医療問題弁護団
  • 公益社団法人 東京青年会議所
  • 文京区基本構想推進区民協議会 委員
  • 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
  • 文京区倫理法人会
略歴
2008年 東洋大学法学部 卒業
2011年 東洋大学法科大学院 卒業
2011年 司法試験合格
2012年

弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)

神保町法律事務所 入所

文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任

東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任

公益社団法人東京青年会議所 入会

2013年

初雁総合法律事務所 設立

公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任

推薦文を頂戴いたしました

鍼灸師

鍼灸師
日々日々進化する最新医学の学びを惜しまない、勉強熱心な先生です。

担当医師と良好な関係とは言い難い状況はどなたにも経験があること。

こういった場面に弁護士の先生が助けてくださることを知らずに過ごしていたら、今頃どうなっていただろうと怖くなります。

健康状態が不安な中で、先生の存在がメンタル面を支えてくれました。

お人柄がよく、ご相談しやすいこと、そしてわかりやすい説明で安心してお任せすることができました。

日々日々進化する最新医学の学びを惜しまない、勉強熱心な先生です。

社会保険労務士法人代表

社会保険労務士法人代表
野口眞寿弁護士は、迅速に対応できる信頼できる弁護士です。

私は仕事柄、社長とお会いする機会が多いのですが、トラブルに巻き込まれたある会社の社長から相談があり、紛争の恐れがあったため、社長に了解を経て、野口眞寿弁護士を紹介した所、その日のうちに社長の相談を受け、迅速にまたとても丁寧に対応してくださいました。結果トラブルの相手に直接連絡していただき解決に導いていただきました。

野口眞寿弁護士は、迅速に対応できる信頼できる弁護士です。

公認会計士

公認会計士
まずは電話でも良いので、苦しくなる前に相談してみるのが一番だと思います。

事業主となれば業務上様々なトラブルに遭遇することが少なからずあります。

そのトラブルに対して迂闊な対応をしてしまうと問題が大きくなり、更なるストレスに苛まれてしまいます。

私は上記のようなストレスを感じる前に元々知人であった野口弁護士に相談することにより「もし相手が今後このような動きをしたらこう対応します。」という回答をいただき、安心感を覚えました。

今は顧問弁護士に就任いただき、普段は飲み仲間、有事の際は法律の専門家としてトラブル対応に注力いただいております。

まずは電話でも良いので、苦しくなる前に相談してみるのが一番だと思います。

事務所概要

フットワーク軽く、積極的に解決策を提案いたします。

<個人の方>

離婚の問題や交通事故問題、相続や借金問題など、大小に関わらず身近なトラブルはぜひ当法律事務所にご相談ください。

正式に仕事をご依頼いただくまでは、法律相談料以外の費用が発生することはありません。

<企業の方>

企業間における契約書のトラブルや金銭のトラブル、企業内の社内トラブルなど、企業経営における様々な法律トラブルを未然に防ぐことに尽力しております。

起こってから対応するよりも起こる前に予防する「予防法務」のお手伝いならお任せ下さい。

事務所名 初雁総合法律事務所
代表者 野口 眞寿 (のぐち まさとし)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル4F
電話番号/FAX番号
(担当:野口)
TEL:050-3184-3790 / FAX:050-3730-7809
対応時間

平日 10:00~18:00

※ 事前予約で時間外も対応可能です

定休日

土・日・祝日

※ 事前予約土。日・祝日も対応可能です

LINE公式アカウント

当事務所ではLINEでの相談対応が可能です。(LINE ID:@691yberd お気軽に友だち登録して相談してください。

■登録方法について LINEの「友だち追加」からQRコードを読み取っていただくか、友だち追加ボタンをタップしてご登録ください。

URL:https://lin.ee/bWLXcxp

友だち追加

ページトップへ