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くも膜下出血の診断が遅れた?医療過誤を疑った時の対処法

くも膜下出血とは、脳の血管に瘤状または紡錘状の膨らみができて、それが破裂することです。

くも膜下出血の症状は、出血の量によって頭痛や吐き気といった軽いものから、意識障害を起こす重篤なものまであります。

くも膜下出血はすぐに診断して適切な処置を行わないと患者の死亡や、重度の後遺症などに繋がります。

今回はくも膜下出血の診断が遅れたのではないかと、疑いを持った場合の対処法について解説しましょう。

くも膜下出血の症状や正しい診断とは

くも膜下出血が起きたら、どのような症状が出るのでしょうか。

また、病院に行くとどのような診断が行われるのか気になります。

ここからは、くも膜下出血の症状や適切な診断手順について解説していきます。

くも膜下出血の症状

くも膜下出血の典型的な症状は、次の3つです。

 

  • 激しい頭痛
  • 嘔吐
  • 意識障害

 

頭痛を経験した人はバットで殴られたような痛みと表現する人も多く、これまで経験したことのないような激しい頭痛に見舞われます。

一方で、頭痛がなく突然意識を失うこともあり、大きないびきを伴うケースも多くみられます。

他にも嘔吐や目の痛みを感じることもあるようです。

 

以上のような症状が出た場合は、くも膜下出血の可能性があり一刻を争いますので、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

正しい検査が行われたか

くも膜下出血が疑われた場合、まずはCTMRIで脳内に出血がみられるか検査します。

それでも診断がつかない場合には、腰椎の間に針を刺し髄液を採取する「髄液検査」が行われます。

くも膜下出血の場合、採取した脳脊髄液が赤くなるので診断が確定できるのです。

これらの検査が行われていれば、正しい検査が行われていたことになりますが、本人はもとより、付き添った家族もその場で知ることは難しいと思います。

また、病院内の医療基準などもあるので、医療過誤の判断は非常に難しいものになります。

適切な処置が行われていたか

ご家族が亡くなったり重度の後遺症が残ったりした場合は、適切な処置が行われていたのか疑問が湧くことがあると思います。

しかし医師や医療施設に対して、なかなかそれを言い出せないものです。

ここからは、くも膜下出血の診断が遅れたことが、医療過誤として裁判で認められた例をご紹介します。

裁判例1:大阪地裁

激しい頭痛を訴え嘔吐した患者が、翌日の夕方脳神経外科を受診したがMRI画像に異常はなく、脳波も正常だったためストレスによる頭痛と診断されます。

その2日後に意識不明となり、救急搬送されるが手遅れで患者は亡くなりました。

裁判では患者に頭痛と吐き気の症状が出た日から救急搬送されるまでの5日間、ずっと頭痛と吐き気が続いていたと判断しています。

くも膜下出血の顕著な症状が出ていたにもかかわらず、MRI検査のみでCT検査をしなかったことが手遅れに繋がったと判断されます。さらにその原因として、初診の際に患者本人や家族に医師が充分な問診をしていなかったとし、医師は問診義務違反を問われることとなりました。(平成151029日判決)

裁判例2:大阪地裁

頭痛と関節痛を訴え受診した患者が、当初は風邪と診断されたのですが、症状が良くならなかったため神経内科で髄液検査が行われました。

その結果、髄液が黄色みがかっていることが肉眼で認められたのですが、検査時に出血があったことから医師は血液による影響と判断しました。

その1週間後に患者は意識不明となって倒れ、救急病院に搬送されCT検査によって、くも膜下出血と診断されています。

幸い命はとりとめましたが、重度の後遺症が残ってしまいました。

裁判所は、髄液が黄色みがかっていたことを問題としました。

髄液が赤みがかった黄色になることを「キサントクロミー」と言い、くも膜下出血と診断すべき所見なのです。裁判所は医師がくも膜下出血を見落とした過失を認めました。(平成18728日判決)

医療過誤を弁護士に相談するメリット

くも膜下出血の診断の遅れは、医療過誤に当たる可能性があります。患者自身や、その家族が医療過誤を疑った場合、医師やその医療機関に対して損害賠償を請求できる可能性があります。

ここからは、医療過誤を弁護士に依頼するメリットについて解説します。

証拠収集ができる

医療過誤の損害賠償を請求するためには、病院から診療記録を開示してもらう必要がありますが、個人が交渉しても拒否されることがあります。

医療機関は本来、それを拒否することはできません。

しかし、もっともらしい理由をつけて断ることがあります。

また、カルテを改ざんする恐れもあります。

このような場合、個人が交渉するのはとても難しいのですが、弁護士は弁護士会照会という特権を使って様々な調査ができます。

証拠をもとに調査ができる

診療記録などを個人が入手できたとしても、医療の専門知識がないと、その内容が医療過誤だったかどうかの判断はなかなか難しいものです。

このような場合も弁護士は、文献や過去のデータをもとに調査をすることができます。

また、医療事故の経験が豊富な弁護士は、協力関係にある医師がいるため、医師からの意見を得ることも可能です。

医療機関との交渉を行ってもらえる

様々な資料や調査から医療過誤の可能性が高いことが判断されたら、医療機関と交渉をする必要があります。

この場合も、様々な資料と証拠をもとに説明や交渉をするのは大変です。

また、医療機関はこのような自体になると必ず弁護士を立てるため、個人で示談交渉をするのは難しくなります。

弁護士に依頼すれば示談交渉はもちろん、裁判による解決が必要になった場合も代わりに行ってくれます。

まとめ

今回は、くも膜下出血の診断の遅れが死亡や後遺症の原因だと疑いを持った場合の対応について、くも膜下出血の症状や検査方法と共に解説しました。

医療の知識がないと医療過誤があったかどうかの判断は難しいため、疑いを持った時は専門機関に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼する場合は、医療に関する知識が豊富な専門の弁護士を選ぶようにすると良いでしょう。

提供する基礎知識Basic Knowledge

資格者紹介Staff

野口 眞寿先生
野口 眞寿Noguchi Masatoshi

法律を知らないばかりに悩んでいる人々の力になりたい。

当事務所は医療過誤のご相談に豊富な経験がございます。
おひとりで悩まず、お気軽にご相談ください。

所属団体・資格等

  • 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
  • 医療問題弁護団
  • 公益社団法人 東京青年会議所
  • 文京区基本構想推進区民協議会 委員
  • 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
  • 文京区倫理法人会

経歴

  • 2008年
    東洋大学法学部 卒業
  • 2011年
    東洋大学法科大学院 卒業
  • 2011年
    司法試験合格
  • 2012年
    弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
    神保町法律事務所 入所
    文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
    東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
    公益社団法人東京青年会議所 入会
  • 2013年
    初雁総合法律事務所 設立
    公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任

事務所概要Office Overview

名称 初雁総合法律事務所
資格者 野口 眞寿 (のぐち まさとし)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル4F
連絡先
(担当:野口)
TEL:050-3184-3790/FAX:050-3730-7809
対応時間 10:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能です)
定休日 土日祝(事前予約で休日も対応可能です)
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