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医療過誤と医療事故の違いとは?分かりやすく解説

病院でケガなどを処置してもらったときに適切な処置が行われず、後遺症が残ることがあります。

その際、医療過誤なのか、医療事故なのか正確に判断できない方もいらっしゃると思います。

この記事では、医療過誤と医療事故の違いについて分かりやすく解説します。

医療過誤と医療事故の違いとは

病院で受ける治療において、医療過誤と医療事故にはどのような違いがあるのかみていきましょう。

医療過誤とは

医療過誤とは、医療事故の発生原因が医療機関や医療従事者に過失のある場合のことを指します。

たとえば、医療過誤には以下のようなケースが該当します。

 

  • 高齢男性が自宅の階段から転落して病院に搬送後、医師が誤った判断をして頸椎後方固定術を行った結果、四肢麻痺が生じた後に両下肢機能全廃の後遺症を負った
  • 妊婦がクリニックで出産した後、赤ちゃんの顔にチアノーゼがあることに気付き、担当医師に連絡する際に赤ちゃんの状態を細部まで報告しておらず、誤った処置をしたため翌日に死亡した

 

このように明らかに医療従事者に過失がある場合のみ医療過誤として認められます。

医師は病気の診断、治療方針の決定、手術、適切な薬の処方を行い、看護師は医師の指示のもと、注射や一人で薬を飲めない方の介助、患者の容体や薬の副作用の観察を行います。

医療従事者が医療行為の判断を誤れば、後遺症を負って日常生活に支障をきたすことや命に危険が及ぶ可能性があります。

医療事故とは

医療事故とは、医療機関などの医療に関わる場所で行われる医療全般において発生する人身事故を指します。

また、医療従事者が医療行為を行った際に「過失によるもの」と「不可抗力によるもの」どちらが原因でも医療行為を受けた人が損害を被った場合は医療事故とみなされます。

さらに医療事故は、医療に関わる場所で起こった人身事故全般を指すため、医療従事者が不利益を被った場合も含まれます。

たとえば、医療事故には以下のようなケースが該当します。

 

  • 患者のお見舞いで病院内を歩いて転倒によりケガを負った
  • 医師や看護師が病院内で転倒して手首を骨折した

 

どちらの場合も医療従事者が行った医療行為による過失はないので医療事故です。

そのため、医療過誤と医療事故は以下のような違いがあります。

 

  • 医療事故:医療機関などで起こった人身事故全般のこと(医療従事者も含まれる)
  • 医療過誤:医療従事者に過失があり、医療行為を受けた者が損害を被った場合に限定

医療過誤の責任

医療過誤が起こった場合は、医療従事者に対して以下3つの責任が生じます。

 

  • 刑事責任
  • 行政上の責任
  • 民事責任

刑事責任

刑事責任とは、医療従事者が医療過誤を起こすと「業務上過失致死罪」や「業務上過失傷害罪」の刑事罰を科せられます。

罰則として、5年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

刑事責任は、警察によって事件性があると判断された場合に捜査されます。

そのため、患者や遺族が医療過誤の明らかな証拠を警察に提示しなければ、警察も捜査のしようがありません。

行政上の責任

行政責任とは、医療過誤が起こった原因が医療機関における運営体制などの行政上に問題がある場合に問われる責任です。

医療機関に過失があると判断されれば、法律に従って厚生労働大臣の命令によって行政処分が下される可能性があります。

民事責任

民事責任とは、医療過誤が起こった場合に患者および患者の親族や遺族などが原告となって医師や病院を訴え、患者が受けた損害に対して賠償責任を問われることです。

医療過誤により、患者が後遺症や重い障害を患ったり、死に至ったりした場合は、基本的に患者や遺族は家庭裁判所で民事訴訟の申し立てを行います。

民事訴訟の申し立てが認められれば、医療従事者や病院に対して損害賠償請求を行い、補償額について裁判で争います。

医療過誤が疑われるときの注意点

医療機関や医療従事者が「医療過誤を認めていない」場合は、損害賠償されないケースがあるので注意が必要です。

例えば、医療従事者の医療行為によって患者が後遺症などを発症した際、患者や家族が医療機関などに確認して「医療事故は認めます」と言われた場合です。

確かに医療事故は認めていますが、医療機関や医療従事者による過失(医療過誤)は認めていないので損害賠償されない可能性があります。

まとめ

今回は、医療過誤と医療事故の違いについて解説しました。

医療過誤は医療事故に含まれており、医療機関や医療従事者による医療行為に過失がある場合のみ医療過誤と認められます。

医療機関などが医療事故は認めても、医療行為に過失があったとは認めないケースが多く、医療過誤が生じた患者に対して損害賠償されないことがあります。

医療行為を受ける前に説明を受けた内容とは違う後遺症が生じた場合や、医療従事者による過失が疑われるときは、医療訴訟を専門に扱っている弁護士に相談することをおすすめします。

提供する基礎知識Basic Knowledge

資格者紹介Staff

野口 眞寿先生
野口 眞寿Noguchi Masatoshi

法律を知らないばかりに悩んでいる人々の力になりたい。

当事務所は医療過誤のご相談に豊富な経験がございます。
おひとりで悩まず、お気軽にご相談ください。

所属団体・資格等

  • 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
  • 医療問題弁護団
  • 公益社団法人 東京青年会議所
  • 文京区基本構想推進区民協議会 委員
  • 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
  • 文京区倫理法人会

経歴

  • 2008年
    東洋大学法学部 卒業
  • 2011年
    東洋大学法科大学院 卒業
  • 2011年
    司法試験合格
  • 2012年
    弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
    神保町法律事務所 入所
    文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
    東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
    公益社団法人東京青年会議所 入会
  • 2013年
    初雁総合法律事務所 設立
    公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任

事務所概要Office Overview

名称 初雁総合法律事務所
資格者 野口 眞寿 (のぐち まさとし)
所在地 〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル4F
連絡先
(担当:野口)
TEL:050-3184-3790/FAX:050-3730-7809
対応時間 10:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能です)
定休日 土日祝(事前予約で休日も対応可能です)
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