医療過誤・医療事故を疑った時に記録しておくポイント
多くの方が信頼しているのが、医師という存在です。
医師は一般の方が持ちえない医療に関する専門知識を持っており、苦しんでいる患者を救ってくれるありがたい存在です。
しかし、そんな医師でもミスを犯す可能性は否定できません。
こうしたミスを医療過誤と呼び、その結果生じるのが医療事故となります。
では、医師の診療を受けた結果、医療事故や医療過誤が疑われる場合、患者サイドはどのような対応が必要なのでしょうか。
解説していきます。
医療過誤と医療事故の違い
医療事故と医療過誤、似た意味で使われるケースが多く、その言葉が意味する内容をハッキリと理解できていない方もいらっしゃるかと思いますので、まずはこの2つの言葉の違いについて解説していきます。
医療事故とは?
医療事故とは、医療行為の結果、何かしら患者に不利益が生じるようなケース全般を指します。
手術を失敗し後遺症が残る、処方する薬品に不備があり、その結果あらたな疾患等を発症するといったものから、病院内の清掃等が行き届いておらず、患者が転倒して負傷するというケースも医療事故と考えられるケースがあります。
医療過誤とは?
医療過誤は医療事故の中の一部です。
数ある医療事故のケースの中で、明らかな人為的ミスが原因で生じる医療事故を医療過誤と呼びます。
医療過誤には病院側が適切とは言えない医療行為を行うという作為的なものと、必要と思われる処置を行わなかったという不作為のものがあります。
医療過誤の場合は損害賠償請求が可能
医療事故の原因が医療過誤であると認定された場合、患者、もしくは遺族サイドから病院側に対して損害賠償の請求が可能となります。
ただし、こうした訴えを患者、もしくはその親族・遺族の方が個人で起こすのは簡単ではありません。
医療過誤があったかどうかを証明するのは、患者サイドです。
しかし多くの方は医療に関する知識、法的知識が豊富というわけではありません。
医療過誤を認定するためには、「どのような診療が行われ」、「どのような理由で不利益が生じ」、「その原因に人為的なミスがあった」という3点を突き止める必要があります。
そのために医療に関する知識と法的知識が必要です。
医療過誤があったかどうかを判断するために診療記録が重要
治療を受けた方が医療過誤を疑った場合に何ができるか?何をすべきか?というのが問題となります。
患者サイドでできるのは、とにかく診療記録を、できるだけ正確に、時系列でまとめるという作業です。
もちろん詳細な記録を時系列化するのは簡単ではありません。
具体的に作成するのは法の専門家である弁護士の業務となります。
その作成のために必要な記録をできるだけ細かく収集するのが、患者サイドができることとなります。
患者側が記録しておくポイント
患者サイドではどのような記録に注目して情報を集めておくべきか?この点をまとめておきましょう。
いつどのような内容の診療を受けたか?
最初に考えるべきは時系列の問題と、診療内容に関してです。
そもそもどのようなきっかけで、いつ診療を受け始めたか?ここから情報をまとめていきます。
受診した日時等に関しては、カルテの情報開示を請求すれば病院側から入手可能です。
もし、開示請求を行っても開示しない場合などは、弁護士に依頼し裁判所から証拠保全命令を出すことも可能です。
証拠保全命令を受ければ、当然カルテの改ざんなども防げます。
こうしたカルテで分かる情報以外に、患者が受診時にどのような説明を受けたかも重要な情報です。
「背中に痛みを感じたので受診した」、「健康診断で指摘されたので受診した」など、受診した理由や、その時に医師がどのような対応をしたのかをしっかりと記録しておきましょう。
どのような薬剤が処方されたか?
医療過誤においては、薬剤の処方ミスという可能性もあります。
そのため、いつどんな薬が、どんな理由で処方されたかという記録も重要です。
医者が薬剤を処方した場合、その薬剤に関する記録も同時に渡されるかと思います。
また、「おくすり手帳」があれば、その内容を保管しておくという方法もあります。
どのような症状を発症したのか?
受診した結果、もしくは処方された薬剤を使用した結果、どのような症状が表れたか、どのような変化があったかも、時系列とともに記録しておくと、後の医療過誤認定に大きく役立ちます。
病気やケガなどで医師の診療を受け、薬を処方されるというタイミングだけでも、簡単な日記をつけておくと、万が一の際活用できる記録となる可能性があります。
スマホで簡単にでもいいので、毎日の体調等を記録しておくのがおすすめです。
まとめ
家族や身近な方が受けた医療行為の結果、医療事故や医療過誤が疑われるという場合、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
同時に、いつどのような治療を受け、どのような薬剤が処方され、どのような症状を発症したかなど、患者サイドで分かる限りの記録を集めておきましょう。
医療過誤の認定は、医療に関する知識や人脈も必要になる大変な作業です。
すべての弁護士が医療過誤を得意としているわけではありません。
相談する際は、できるだけ医療過誤の案件を多く取り扱っている弁護士を探して依頼するようにしましょう。
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資格者紹介Staff
法律を知らないばかりに悩んでいる人々の力になりたい。
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所属団体・資格等
- 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
- 医療問題弁護団
- 公益社団法人 東京青年会議所
- 文京区基本構想推進区民協議会 委員
- 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
- 文京区倫理法人会
経歴
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- 2008年
- 東洋大学法学部 卒業
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- 2011年
- 東洋大学法科大学院 卒業
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- 2011年
- 司法試験合格
-
- 2012年
-
弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
神保町法律事務所 入所
文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
公益社団法人東京青年会議所 入会
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- 2013年
- 初雁総合法律事務所 設立
公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任
事務所概要Office Overview
名称 | 初雁総合法律事務所 |
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資格者 | 野口 眞寿 (のぐち まさとし) |
所在地 | 〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル4F |
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