患者側が治療拒否をして亡くなった場合、医師に責任を問えるのか
患者側が治療を拒否したことで、結果として亡くなってしまうことがあります。
治療を受けていれば助かったかもしれないと考えると、家族としては堪えられないものです。
このような場合、治療をしなかった医師に対し責任を問えるのでしょうか。
医師の責任とは
医者の過失によって医療事故が起こり、患者が損害を受けた場合には、医者や病院に対し法的な責任を追及できます。
責任を追及できるのは、投薬ミスなど実際に行った治療や手技による医療事故だけではありません。
医師として行うべき義務を果たさなかった場合にも、責任を問える可能性があります。
医師に責任を問うには
医療現場で患者が損害を受けた際、医療従事者などに責任を問うには、次の条件を満たさなければいけません。
- 医師や病院に過失がある
- 患者に損害が発生している
- 当該の医療行為と損害に因果関係がある
たとえ医療現場で患者が損害を受けたとしても、過失がなければ責任を問えません。
過失や因果関係を証明するには、病院に対し証拠保全の手続きを行うなどの対応が必要になります。
患者自身が治療を拒否し、結果として亡くなった場合
患者自身が治療を拒否して亡くなった場合、医師や病院に過失があったのか、その過失によって患者が亡くなったという因果関係があるのかがポイントになります。
患者の意志を尊重して治療しなかった場合、「治療をしない」という行為自体は過失があるとは言えません。
しかし医師には患者に病状や治療法を説明する責任があり、説明不足の場合には過失にあたる可能性があります。
説明責任を果たさなかったと証明でき、それによって治療を受けられずに亡くなったと証明できる場合には、責任を追及できる可能性があるのです。
治療に対する決定権は患者にある
治療を受けるかどうかを最終的に判断するのは患者本人です。
患者本人が治療を受けないと決断した場合、たとえそれが重篤な結果につながるとしても、医師は勝手に治療できません。
たとえば宗教上の理由で輸血を受けられない場合、輸血が必要となる治療を受けない選択をすることも患者の自由です。
ただし治療に関する決定のためには、患者自身が自分の病状や治療の必要性を正しく理解している必要があります。
医師には患者に対し説明責任がある
医師は患者に対し、病状や治療について説明する責任があります。
たとえば、がん治療において、病状によって手術が可能なのか抗がん剤などの化学療法が必要なのかなど治療方針が変わります。
複数の治療方針が考えられる場合には、それぞれの治療のメリット・デメリットを説明しなければ、患者側はどの治療を選択するべきか判断できません。
患者は医師から十分な説明を聞き、納得した上で治療方針を決定していきます。
責任を問えるかどうかは十分な説明を行ったかがポイント
医師が治療の必要性を十分に説明したにも関わらず、患者が治療を拒否した場合には、医師は患者の意向を尊重します。
たとえその結果として患者が亡くなったとしても、説明責任を果たしていれば過失はありません。
医療機関によっては説明責任を果たしたことを証明するため、治療を拒否する患者に対し、十分な説明を受けたうえで治療を拒否する旨の誓約書に署名を求めることもあります。
しかし医師の説明が不十分であり、患者が自分の病状を誤解していたり、治療の必要性を正しく認識していなかったりする場合には、医師が説明責任を果たさなかったと認められることがあります。
この時、診療という契約上、説明責任を果たさないことは債務不履行と考えられ、損害賠償を請求できます。
医師の説明責任に対する過失
患者が自身の病状を正しく認識していないと思われる場合、医師は患者の誤解を解き、医学的知見から治療を受ける必要があることを説明して、治療を受けるように説得しなければいけません。
患者側は専門的な医療の知識を持っていないことがほとんどです。
たとえ手術を勧められたとしても大きな問題とは捉えず、時間やお金がかかることなどを理由に治療を拒否することがあります。
患者が病気について正しく理解していないと予想できる状況において、必要な説得をせずに経過観察のみを続けた場合、患者は自分の病状がたいしたものではないと誤解したままになってしまいます。
このような行為は医師の過失であると考えられ、責任を問うことが可能です。
まとめ
この記事では、患者が治療を拒否して亡くなった場合、医師に責任を問えるかどうかを解説しました。
医師には患者の病状や治療について説明する責任があります。
患者が自身の病状を誤解している可能性がある場合には、説明や説得をしなければいけません。
これらをおこたった結果、患者が亡くなった場合には、責任を追及できる可能性があります。
医療における責任問題は弁護士までご相談ください。
提供する基礎知識Basic Knowledge
-
出産時の医療過誤(帝...
医療過誤にあった場合、法律的には、示談交渉を行って示談金を得たり、訴訟を提起して損害賠償金を得ることで、解決を目指すことになります。 帝王切開や無痛分娩での出産において、医療過誤が発生することがあります。出産時 […]
-
帝王切開で生まれてき...
帝王切開が遅れたために子供に後遺障害が残ったり、死亡してしまった場合、父母は、産婦人科の医師や医療機関に対して医療訴訟を提起できるのでしょうか。出産時の医療事故も医療過誤訴訟のため、ハードルは高いですが、専門の弁護士に依 […]
-
患者側が治療拒否をし...
患者側が治療を拒否したことで、結果として亡くなってしまうことがあります。治療を受けていれば助かったかもしれないと考えると、家族としては堪えられないものです。このような場合、治療をしなかった医師に対し責任を問えるのでしょう […]
-
医療過誤による胎児死...
医療過誤により胎児が死亡した場合、医療従事者などに対して損害賠償の請求はできるのでしょうか。これには、産まれる前の胎児やその両親が、法律上どのような権利を持っているのかが問題となります。この記事では、医療過誤による胎児死 […]
-
医師の説明義務違反
近年、インフォームドコンセントに対する注目が高まり、それに伴って、医師の「説明義務」が認められるようになりました。 説明義務は、いくつかの判例でも実際に承認されています。 ■最判平成13年11月27日 […]
-
医療過誤による損害賠...
医療過誤で被害を受けた場合、発生した損害分を賠償してもらうため、損害賠償請求を行うことができます。この損害賠償請求は、誰に対し、どうやって行うことができるか、ここで紹介していきます。 医療過誤による損害賠償の請求相手とは […]
資格者紹介Staff
法律を知らないばかりに悩んでいる人々の力になりたい。
当事務所は医療過誤のご相談に豊富な経験がございます。
おひとりで悩まず、お気軽にご相談ください。
所属団体・資格等
- 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
- 医療問題弁護団
- 公益社団法人 東京青年会議所
- 文京区基本構想推進区民協議会 委員
- 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
- 文京区倫理法人会
経歴
-
- 2008年
- 東洋大学法学部 卒業
-
- 2011年
- 東洋大学法科大学院 卒業
-
- 2011年
- 司法試験合格
-
- 2012年
-
弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
神保町法律事務所 入所
文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
公益社団法人東京青年会議所 入会
-
- 2013年
- 初雁総合法律事務所 設立
公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任
事務所概要Office Overview
| 名称 | 初雁総合法律事務所 |
|---|---|
| 資格者 | 野口 眞寿 (のぐち まさとし) |
| 所在地 | 〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル4F |
| 連絡先 (担当:野口) |
TEL:050-3184-3790/FAX:050-3730-7809 |
| 対応時間 | 10:00~18:00(事前予約で時間外も対応可能です) |
| 定休日 | 土日祝(事前予約で休日も対応可能です) |
| LINE 公式アカウント |
当事務所ではLINEでの相談対応が可能です。(LINE ID:@691yberd)
■登録方法について
|
