医療過誤による損害賠償請求|請求相手や請求方法について
医療過誤で被害を受けた場合、発生した損害分を賠償してもらうため、損害賠償請求を行うことができます。
この損害賠償請求は、誰に対し、どうやって行うことができるか、ここで紹介していきます。
医療過誤による損害賠償の請求相手とは
医療過誤による損害賠償請求では、多くの場合、病院などの医療機関が請求相手となります。
ただ、場合によっては医師などの医療従事者個人に対して請求することもありますし、医療機器メーカーに対して請求することもあり得ます。
医師等の個人が請求相手になるケース
医師個人を相手に請求する場合、「不法行為」あるいは「債務不履行」を根拠に賠償を求めます。
不法行為に関しては、“故意または過失により他人の権利利益(身体への侵害なども)を侵害した者は損害賠償責任を負う”といった形で民法に法定されています。
債務不履行に関しても、民法で“債務の本旨に沿った履行をされず損害が生じた場合、債権者は損害賠償請求ができる”と民法で法定されています。
医療過誤においては、適切な診療を行うべき債務が医師等にあったにもかかわらずその義務を果たさなかったとして、債務不履行責任に基づく請求ができます。
医療機関が請求相手になるケース
病院などの医療機関は法人ですので、直接医療過誤を起こすわけではありません。
しかしながら、医療機関と患者が契約を交わしていれば、前項同様債務不履行を理由に請求することは可能です。
また、業務中の医療従事者がした不法行為により損害が生じたのであれば、「使用者責任」を根拠に医療機関に請求することもできます。
使用者責任も民法に規定されている責任です。“従業員が他者に損害を与えた場合、当該従業員を使用する者は責任を負う”といった規定が置かれています。
ただし書きで、使用者側が相当の注意をしていたときには責任を負わないことも規定されていますが、この使用者責任のルールが設けられていることにより患者側としては請求先の幅が広がります。
医療機器メーカーが請求相手になるケース
医療機器の問題で医療過誤が発生した場合には、当該医療機器メーカーが損害賠償責任を負うこともあります。
これは製造物責任法に基づく「製造物責任」を根拠としています。
製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。
この責任は、上に挙げた不法行為の特例として機能します。
機器の欠陥が原因で損害が生じたことを立証するのは簡単ではありませんが、請求相手の候補としてはメーカーも上がってくることは覚えておくと良いでしょう。
なお、医療機器がきっかけで起こった医療過誤であっても、その取扱いに問題があったのなら医療機関側にも責任は生じます。
損害賠償の請求相手は1人に限られませんので、状況によっては医師と医療機関、医療機関と医療機器メーカーなど、複数を相手方に請求することもあります。
損害賠償の請求方法
どこを相手方に請求する場合でも、基本的に請求方法は変わりません。
相手方が素直に応じてくれれば直接話し合って賠償金を受け取ることができますし、これが難しい場合には裁判所を利用して請求を行うことになります。
示談交渉による損害賠償請求
多くの場合、「示談交渉」による損害賠償請求から着手することになるでしょう。
示談交渉は当事者間で話し合い、民事上の和解を目指す行為を指します。
裁判所で手続を行う必要がありませんし、当事者間で自由に話し合いを進めることができ、解決までのスピードも早いというメリットがあります。
他方で、一患者と医療機関という組織ではパワーバランスに大きな偏りがあります。患者が1人で個人的に請求をしたところで相手にされないおそれもあります。
そこで弁護士に頼んで示談交渉をしてもらうことがおすすめされます。対応してもらえない、不誠実な態度を取られるといった問題も解決しやすくなります。
相手方に本気度も伝わりますし、何より自分1人で交渉する場合に比べて、希望する賠償額での請求が叶いやすくなります。
調停による損害賠償請求
示談と同じく当事者間での話し合いを軸とする手続ですが、「調停」というやり方もあります。
「調停委員」という法律のプロを加えた話し合いとなりますので、より解決に向けて建設的な話し合いが進めやすくなります。
後述の訴訟に比べると解決までの期間が短いです。しかしながら、調停でも結局は双方の同意がなければ解決できないという弱点を持ちます。
訴訟による損害賠償請求
最終手段は「訴訟」です。
訴訟を裁判所に提起し、裁判官に結論を出してもらうのです。
この場合、当事者は自ら証拠を集め、裁判所に提出しなければなりません。
この証拠集めが医療過誤では大きなハードルとなるでしょう。交通事故やその他の損害賠償請求の事例と比べて、証拠の所在に大きな偏りがあるからです。
請求相手となる医療機関がほとんどの証拠を有しているため、証拠隠滅や記録の改ざんなどをされてしまうと立証が困難となります。
そのため弁護士に頼むなどして早期に証拠保全に取り組むことが大事です。
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資格者紹介Staff
法律を知らないばかりに悩んでいる人々の力になりたい。
当事務所は医療過誤のご相談に豊富な経験がございます。
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所属団体・資格等
- 第一東京弁護士会 住宅紛争処理審査会運営委員会 委員会
- 医療問題弁護団
- 公益社団法人 東京青年会議所
- 文京区基本構想推進区民協議会 委員
- 公益財団法人 文京アカデミー 評議員
- 文京区倫理法人会
経歴
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- 2008年
- 東洋大学法学部 卒業
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- 2011年
- 東洋大学法科大学院 卒業
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- 2011年
- 司法試験合格
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- 2012年
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弁護士登録 第一東京弁護士会(登録番号46872)
神保町法律事務所 入所
文京区 行財政改革区民協議会 委員 就任
東洋大学法科大学院アカデミックアドバイザー 就任
公益社団法人東京青年会議所 入会
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- 2013年
- 初雁総合法律事務所 設立
公益財団法人文京アカデミー 評議員 就任
事務所概要Office Overview
名称 | 初雁総合法律事務所 |
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資格者 | 野口 眞寿 (のぐち まさとし) |
所在地 | 〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル4F |
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